「赤い河の谷間」という歌がある。アメリカの民謡で、私の好きな歌だ。カウボーイの恋の歌である。
「赤い河」という名作西部劇がある。題名からして、てっきり「赤い河の谷間」が挿入音楽として使われているかと思うと違う。「赤い河の谷間」のメロディーが何度も出てくるのは「牛泥棒」という映画である。
「赤い河」では、「ライフルと仔馬と私」のメロディーがでてくる。「ライフルと仔馬と私」の歌詞付きの歌は、同じ監督が、ずっと後で作った西部劇「リオ・ブラボー」の中で、ディーン・マーチンとリッキー・ネルソンが歌っている。
西部劇と音楽は切っても切れない関係にある。名作の西部劇と共に、素晴しい音楽がある。たとえば「シェーン」は映画ももちろん素晴らしかったが、音楽も素晴らしかった。「駅馬車」もそうだ。「真昼の決闘」、「荒野の決闘」、「捜索者」などは、映画も主題歌もよかった。
例外もある。「リバティー・バランスを撃った男」は素晴らしい西部劇だが、主題歌はないし、音楽も印象に残っていない。
逆に、映画はさほど好きになれなかったが、音楽がよかったのもある。「荒野の七人」は、大ヒットしたが、私は愚作だと思う。でも、音楽はよかった。「大いなる西部」は、名作といわれるが、私は好きではない。しかし、音楽は好きだ。
いろいろである。
今は、西部劇も、その音楽も、すっかりすたれてしまった。西部劇の音楽を語る相手もみつからない。
それと対照的なのは、アニソンである。私はあまり興味を持っていないのだが、いま、アニメーションはすごく人気があるようだ。そしてアニメの主題歌、いわゆるアニソンも、隆盛を極めている。ラジオでもアニソンがいっぱい流れる。NHK-FMには、毎週アニソン・アカデミーという番組がある。西部劇とは大違いだ。
まあ、アニソンはどうでもいい。とにかく、私は西部劇も、その音楽も好きだ。
「いやぁ、西部劇って本当にいいものですね」、では、「さよなら、さよなら、さよなら」
天の声「映画評論家のまねのつもりか」