西部劇には、たいてい悪役が出てくる。悪役はとても大事だ。正義のヒーローだけではドラマが成立しない。良い悪役が(良い悪役といういい方は矛盾していて変だけれど)登場して、はじめて面白くなる。
たとえば、「シェーン」では、ジャック・パランスの演じる悪役が大きな話題になった。黒づくめの服装をしていて、すごみがある。拳銃を抜くスピードの速いこと! でも、もちろん最後にはシェーンに撃たれてしまう・・・
「ゴーストタウンの決闘」には、リチャード・ウィドマークが悪役で登場した。これもすごくよかった。主役のロバート・テーラーを完全に食ってしまった。ロバート・テーラーはずーとリチャード・ウィドマークにいじめられっぱなしで、いいところがなかった。
「ヴェラクルス」では、バート・ランカスターが悪役を演じた。日焼けした真っ黒い顔で、真っ白い歯を出してニヤリと笑うのが印象的だった。主役のゲーリー・クーパーは完全に食われていた。最後の決闘でクーパーが勝つのだけれど、どう見てもランカスターの方が強そうだった。
「リバティ・バランスを撃った男」では、リー・マーヴィンが迫力ある悪役を演じて、ジョン・ウェインもたじたじだった。
西部劇って面白いなあ。