大昔、私は「二重らせん殺人事件」というミステリーを書いた。大学が舞台で、よその研究室内、研究室間のごたごたを題材にした。パワハラの教授が殺されたりする。
そうしたら、この小説は「他人の不幸は蜜の味」をテーマにしたものだと批評された。そんなつもりはなかったのだけれど・・・
「他人の不幸は蜜の味」という言葉を辞書で探したら見つからず、「人の悪口は鴨の味」という言葉があった。他人の悪口を言うことの快感を、美味な鴨の味にたとえていうと書いてあった。
ついでに、「酔いざめの水は甘露の味」、「酔い覚めの水下戸知らず」などという言葉を見つけた。「他人の不幸は酔い覚めの水の味」といってもいいのかな・・・
それでは、他人の幸せはどんな味なのだろう。蜜の味の逆だから、苦い?
苦いといえば、せんぶりが有名だ。せんぶりはリンドウ科の植物で、茎も根も苦い。煎じて健胃剤として用いる。「他人の幸せはせんぶりの味」ではどうかな。きつすぎるかなあ。
天の声「そんな言葉はだれも使わない」