先日、アマゾン・プライムでミステリー・ドラマを見ていたら、華道の先生が登場した。初老の上品そうな男性なのだが、弟子の前で花を生ける最中に、鼻をぐずぐずさせ、大きなくしゃみをした。
先生は花粉症だった。「華道家が花粉症なんて、恥ずかしい」と先生がつぶやいた。
私は、なんだか可笑しくなって、笑ってしまった。華道の先生が商売道具の花で、花粉症になるなんて滑稽だなあ。
仕事や商売に絡んだことわざ、言い伝えはいろいろある。例えば、「紺屋の白袴」。これは他人のためにばかり忙しくて、自分の事をする暇のないことをいう。しかし、「華道家の花粉症」はこれとは違う。
「紺屋の白袴」と似た意味の言葉は、他にも「髪結いの乱れ髪」とか、「坊主の不信心」、「左官の粗壁」などあるが、どれも「華道家の花粉症」とは違う。
「医者の不養生」は似ているけれど、やっぱり違うと思う。それに、医者の不養生には滑稽味がない。
街のふつうの花屋さんが花粉症になっても、それほど面白くない。「華道家」の花粉症が可笑しい。
天の声「こんなことを可笑しがる方が可笑しい」