菅さんが、首相を辞めることになった。菅さんにはいろいろな批判があったが、その一つは記者会見の際の質疑応答の様子であった。質問にまともに答えようとしない。はぐらかす。論点をずらす。何を聞かれても、同じ答えを繰り返す。「国民の安全・安心を第一に・・・」とか。
記者も国民も、イライラしてしまう。これを見ていて、大昔のことを思い出した。
それは、大学紛争の時のことである。あの頃、大学の先生たちは、過激な学生たちに攻めたてられた。学部長とか、学科主任とかが、矢面に立つ。ふつうは、そういう職には、頭の回転が速く、弁の立つ人が選ばれている。一対一で、冷静に議論するなら、学生に負けるはずがない。
しかし、紛争の時は、学生は多数で、興奮している。何を言っても聞き入れない。議論はエンドレスに続く。これでは、先生の体力が持たない。
そこで、先生方も考えた。こんな時には、まともに議論を応じる必要はない。弁の立つ人よりも、普段少しポケ―としてしている人を選べばいかがか。まともに答えず、とぼけた返事をすれば、論争にならない。
というわけで、学生の相手に、学問的には優れているが、少し変わった先生を推薦する意見があった。それが実現したのか、結果はどうなったか、私は知らない。私は、下っ端の教員で、しかも、いわゆるカメ派、つまり、首を少し出して様子をうかがい、なにかあると首を引っ込めてしまっていたから、よくわからない。
今回も、菅さんの質疑応答からの連想で、話が脱線してしまった。いつものことだといわれそう。
天の声「私が言う前に言うな」