歌手の八代亜紀さんが亡くなった。八代さんは、膠原病を患っていたとニュースで聞いた。
 膠原とはコラーゲンのことである。膠原病は、英語では collagen disease。コラーゲン病といえばいいと思うけれど、そう言わない。コラーゲンという言葉が知れ渡っている今でも、コラーゲン病とは言わず、膠原病という。
 膠原の膠とは「にかわ」のこと。獣や魚の骨、皮、腱などを水で煮出した液を乾かして固めた物質だ。昔から物を接着するのに使われていた。いまの言葉で言えばコラーゲンが熱変性したもの、すなわちゼラチンが本体である。
 膠原病は、皮膚、筋、関節などの結合組織に炎症・変性が起こる慢性疾患の総称である。病変の起こる部位には、コラーゲンの線維がたくさんある。昔はコラーゲンが直接関連する病気だと考えられて、クレンペラーという学者が collagen disease 膠原病という名前をつけた。いまは、コラーゲンが原因の病気ではなくて、自己免疫に関連した疾患と考えられている。
 そういう意味でも、膠原病、collagen disease という名前は適切ではない。
 医学者でない私が言うことでもないけれど・・・    

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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