終戦後、つまり私が子供のころ、アメリカの文化が日本に怒涛のように押し寄せてきた。歌もその一つであった。たとえば、江利チエミさんがアメリカの歌の「テネシーワルツ」を歌い、大ヒットになった。明治生まれの私の母は、「テネシーワルツ」をずうと「楽しいワルツ」だと思い込んでいた。
ボッブ・ホープの主演した「腰抜け二丁拳銃」という映画があった。その主題歌は「ボタンとリボン」という歌だった。しかし、大抵の日本人には、「buttons and bows」は、「バッテンボー」としか聞こえなかった。
聞き違い、読み違い、勘違いの話はたくさんある。有名なのは、テレビアニメの「巨人の星」の「重いコンダーラ」であろう。主人公の少年が、重いローラーで、グランドを整備しているのを背景に、主題歌が流れる。「思い込んだら・・・」。それで、あのローラーをコンダーラというと勘違いした人が多かったというのだ。でも、本当は、この説も正しくなくて、主題歌とローラーが一緒に登場するシーンはないそうである。
唱歌「ふるさと」の冒頭に、「ウサギ追いし・・・」というところがある。これを「ウサギ美味し」と勘違いした人がいる。「ウサギ負いし」と思った人もいるそうだ。
ラジオのニュースで「汚職事件」を伝えていたのを「お食事券」と聞き違えた人がいる。そうなら、「至福の時」を「私服の時」と間違えてもよさそうだ。
「エクソダス」とは、旧約聖書の出エジプト記のことだが、これを便秘の薬の名前と勘違いした人がいる。あの「コラーゲン」だって便秘薬だと思っていた人もいた。「コーラック」というクスリと間違えたらしい。アハハ。
読み違いの話にいこう。「大満足」と「大根足」とは、たった一字違い。「落花生」と「落第生」もたった一字違いである。間違えるんじゃないかなあ。
天の声「くだらない」