先日の新聞に、「老化を抑える物質 50~70代の女性が飲んだら」という記事が載っていた。ニコチンアミド・モノヌクレオチド、略してNMNという物質の話である。
アメリカの研究グループの研究結果だが、彼らは、以前、マウスで実験して、NMNが、マウスの老化に伴って起こる肥満、免疫や骨密度の低下、眼の機能低下などを防ぐ効果や、メスの糖尿病を改善する効果があることを突き止めた。
今度は人で実験を行った。肥満があり、糖尿病になりやすいとされる、50~70代の女性、十数人に、NMNを10週間飲んでもらった。その結果、筋肉の細胞でのインスリンの働きが25%上昇したという。これは体重70キロの人が努力して、7キロ体重を落としたのと同じ効果だそうである。
それでは、NMNがどういう仕組みで働くのだろうか。これは新聞には書いてない。
NMNは、まず体の中でNADという物質に変化する。このNADが、サーチュインという遺伝子を活性化すると考えられる。
サーチュイン遺伝子は、抗老化遺伝子とも呼ばれていて、これを活性化すると寿命が延びることは、酵母、センチュウ、ショウジョウバエなどで報告されている。この遺伝子が活性化されると、サーチュインというというタンパク質が合成される。
サーチュインは、ヒストンデアセチラーゼ、つまりHDAC(エイチダック)の仲間の酵素である。エイチダックについては、ずっと前に紹介したことがある。エイチダックの仲間はたくさん見つかっていて、研究はスゴイ広がりを見せているのだが、もとになるエイチダックをはじめた見つけたのは、井上晃さんと私だということも、すこし自慢気に書いた。
さて、NMNは、枝豆、ブロッコリー、キャベツ、アボカドなど、いろいろな食品に含まれている。またサーチュイン遺伝子を活性化する食品としては、赤ワインが有名である。
サーチュインは飢餓やカロリー制限でも、活性化される。
私は、飢餓状態で長生きするより、赤ワインと枝豆がいいなあ。