今日は死に方の話をしよう。といっても、細胞の死に方である。
細胞の死には二つの形式があるといわれている。一つは「アポトーシス」と呼ばれる死の形式である。アポトーシスは「プログラム死」とも呼ばれている。
受精した卵がかえるときには、きめられた細胞がきめられた時期に死んで、きめられた形がつくられるが、その時にアポトーシスがおこる。たとえばオタマジャクシがカエルになるときには、しっぽの細胞がアポトーシスで死んで、しっぽが消失する。ヒトなどでは、胎児のときに、指の間にあった水かきがなくなるが、これもアポトーシスによっておこる。
アポトーシスの際には、細胞の核の中身が凝集し、細胞全体も小さくなり、断片化していく。そしてまわりの食細胞によって食べられて消失する。
もうひとつの死の形式は、「ネクローシス」とよばれるものである。「壊死」ともよばれる。ネクローシスは、熱、毒物、外傷、細菌やウイルスの感染などによって引きおこされる細胞死である。
ネクローシスでは、細胞は膨れ上がり、核やミトコンドリアなども膨くれる。やがて崩壊や融解がおこる。結果としてまわりの組織には炎症がおこる。
アポトーシスとネクローシスは細胞の死に方だが、なんだか私たちの死に方に通ずるものがある。
死が近づいたとき、身辺を整理して死んでいくアポトーシスのような死に方をする人もいれば、死ぬ前後に迷惑をかけまくる人もいる。これはネクローシス的死に方だ。
もちろん、私はアポトーシスで行きたい。さあ、断捨離とか生前整理をはじめるか。なに、まずエンディング・ノートをつけろ?
やっぱり面倒くさい。やーめた。