私は5人兄弟。兄が2人、姉が一人、そして弟が一人いた。
長兄は私の10歳も年上だった。遊び仲間・じゃれ合って過ごす兄弟というには年が離れていた。兄弟というよりも 父親に近い存在という感じだった。
長兄は体格も良いし、頭もよかった。しかも、性格が強い。旧制の一高を飛び級で入り、東大の物理に進んだ。そして理論物理学者になり、若くして東大の教授になった。
私は東大の理学部化学科に進んだが、その頃、兄は若手の教授で、論客としてかなり有名だった。そこで、私の立ち位置は、「○○先生の弟」であった。
私が東北大学の助手の頃、ある教授に、「キミの兄貴は、キミの年には教授だったよ」なんて言われたりした。