江上不二夫先生は、私の学生・院生時代の指導教授である。つまり、私の恩師なのだが、先生の方は、弟子とは思ってくださらなかったかもしれない。先生のテーマで研究したことがないし、先生のお名前の入った論文もない。でも、先生から、たくさんのことを学んだ。
先生は、いろいろ発言された。いわゆる江上語録が残っていて、本にもなっている。江上語録の一つに「研究のこころ」という詩がある。
ひとに見えない山をみつけたら、ぼくは早く登りたい
そんな山があるかしら
ひとにも見える山に登るなら、ぼくはゆっくり登りたい
思わぬ花や小石があるだろう
たのしみながら登りたい
重要な研究問題があるのではなくて
われわれ自身の研究によって重要なものにするのである
もし重要な研究問題があるならばそれは誰かが重要にしたのである
独創的研究を追い求めるな
A「まぐろずしをどうぞ」
B「私は飯をあまり好まないので 上のまぐろだけいただきます」
これは失礼
食べるなら全部食べるべきだ
興味が無くてもやるべきことはやらねばならない
食べ残し、やり残しのあとしまつは誰も好まない
枚挙も銅鉄的(牛馬的)研究もわるくない
自分が発見した現象、物質などがあるならば まず何よりもそれを愛し育てよう