この小説の主人公、恩地さんは、日本航空の社員だが、組合の幹部として活動した。そのせいで、会社からひどいいじめを受ける。外国での勤務を命じられるが、ニューヨークとかパリではない。中東やアフリカのへき地ばかり。それが10年も続く。
会社側は、組合と手を切るなら日本に帰してやるという。しかし彼は応じない。
私なら、こんな会社をさっさとやめて、まったく違う業界に居場所を探すと思う。でも、それでは小説が成り立たない。恩地さんはやめず、へき地で頑張る。家族も耐える。
やがて日本に戻ってくるのだが、ここでジャンボ機墜落の事故が起きる。恩地さんはその対応でまた苦労する。政治家、官僚、財界人などなど・・・魑魅魍魎が跋扈する中、理想主義者の会長さんと共に頑張る。
恩地さんはアフリカで見た大きな夕日を忘れることができない。落ち着くと、またアフリカへ戻っていく。
とにかく忘れてはいけないのは、500人も亡くなったあの大事故だ。しかし、戦争が起これば、もっと大勢の人が死ぬことも忘れてはいけない・・・