先日、父や男の兄弟のことを書いたので、母についても書かないわけにはいかない気がしてきた。
母は、私が大学生の時、亡くなってしまった。母の実家のことはほとんど知らないが、学問とか理系とかには無縁だった。弟が一人いて、小説家志望で、早稲田大学の文学部に行っていたそうだ。でも、交通事故で亡くなってしまったと聞いている。
私は、「物を書きたい」遺伝子を、母方から受け継いだのかもしれない。
母は、昔風のいわゆる良妻賢母で、男の子4人の教育を担当した。英語や算数を教えてくれたし、男は服装などに無頓着でいるべきだと教育した。お尻をひっぱたいて、全員を東大に入れた。
その頃日本は、太平洋戦争に突入し、やがて、敗戦。戦後の混乱期には、食べるものも、着るものも、住むところもない状態だった。母はとても苦労したと思う。ようやく世の中が落ち着いて、旅行などを楽しむときが来た頃に、母は亡くなってしまった。
運が悪かった。もっと、いろいろ楽しませてあげたかった。