高校生に時には、漢文の授業があった。難しくて、チンプンカンブン、いやチンプンカンプンだったけれど、いくつかの漢詩が、まだ頭の中に残っている。漢詩は声を出して読むと、とても調べがいい。なぜ調べよく響くのだろう。そもそもは中国語のはずだ。中国語で調べがよいのはわかるけれど、日本語に書き下ろした文まで、調子がよいのはすごいなあと思う。
 あの時習った漢詩のひとつに、杜甫の「春望」があった。もちろん詩を正確には、覚えていないが、強く印象に残る詩であった。そこで、インターネットで調べてい見た。あった。

   国破れて山河在り 城春にして草木深し
   時に感じては花にも涙をそそぎ 別れを恨んでは鳥にも心を驚かす
   烽火三月に連なり 家書万金にあたる
   白頭掻けば更に短く すべて簪に勝へざらんと欲す

 今この詩を読むと、新型コロナウイルス感染で、めちゃめちゃになった我が国を連想してしまう。政府の無策もあって、コロナウイルスに国は破れてしまった感じである。
 人々は、家に引きこもっている。外に出られない。人とも会えない。もし会っても、話をしないで黙っている。家族とも、にぎやかにご飯を食べることもできない。職を失った人がたくさんいる。商売ができず困っている人もたくさんいる。そんな状態が、3か月どころか、もう1年以上続いている。みんな、我慢を強いられている。
 杜甫は、賊軍に捕らえられ、監禁されて、この「春望」をつくったそうだ。私たちは、いまコロナウイルスに捕らえられて、監禁されている状態である。
 気持ちに通ずるものがあるんじゃないかなあ。

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です