新型コロナウイルスのデルタ株が流行した後に、オミクロン株が猛威を振るっている。デルタ株とオミクロン株を系統樹で見ると、遠く離れたところにあるのだそうだ。つまり、オミクロン株は、デルタ株から直接変異してできたものではない。
オミクロン株は、デルタ株の流行とは関係のないところで、誕生したということになる。では、どこでどのように誕生したのだろうか?
先日、ラジオを聞いていたら、あるコメンテーターが、「自然に発生するわけがない。どこかの研究室から漏れたのだ」といった。ウイルスをまき散らす意図があったのかどうかはわからないが、研究室から漏れ出たのでなければ、こんなことは起こるわけがないという。
本当だろうか? 私にはわからない。ただ言えるのは、このコロナウイルスのおかげで、世界中のものすごい数の人がひどい目にあっていることだ。
私は科学研究はその人の知的好奇心を満たすためのもので、自由にやればよいと思っている。ウイルスの変異の研究も、「ウイルスの構造と活性の関係を探る」という知的好奇心の対象であり、自由にやってよいと思っていた。でも、他の人に迷惑をかけてはいけない。ウイルスの取り扱い上のミスで、漏れ出てしまうと困る。
ラジオ番組のコメンテーターは、ウイルス変異の研究者の国際的な学会・組織で、ウイルス漏れ防止の方策を検討すべきだといっていたが、私もそう思う。