座右の銘とは、常に身近に備えて諫めとする格言のことだそうだ。座左の銘ともいうと辞書に書いてある。右でも左でもいいなんて、案外昔の人もいい加減だったんだ。
現役の頃は、色紙を渡されて、なにか書けといわれることがあった。たとえば、学生・院生の卒業の時とか、卒業生の結婚の時とかにである。講演した時に頼まれたこともある。そういう時に、気の利いたことを書こうとするけれど、難しい。座右の銘でもあれば、それを書けばいいのだがなあと思った。
昔つとめていた医科大学の学長先生は、”Cool head and warm heart” と書いておられた。誰か、有名な人の言葉かもしれない。いいなと思って、パクって書いたことが何回かあるが、これは、医学生向きの言葉だ。
今、私が書くとすれば、「目立たず、遊ばず、働かず」かな。これは座右の銘ではないし、モットーでもない。「そうやって、過ごしてきたなあ」という感想である。
このもとの言葉は、「目立たず、休まず、働かず」で、公務員をからかった言葉だ。しかし、私は、休んでばかりいたし、度胸がないから、「飲む、打つ、買う」なんていう遊びは、とてもできない。そこで、遊ばずとしてみた。
ちょっと、なさけないかなあ。まだ、これを色紙に書いたことはないけれど。
天の声「なさけない。『わが人生に悔いなし』ぐらい、書きなさい」