むかし、春先になると、お医者さんの入口に「学会出張のため休診」という張り紙がしてあることが多かった。春と秋は学会のシーズンである。
今年は新型コロナウイルス感染の影響で、学会もオンライン形式での開催になるなど、変則的らしい。私は隠居の身、もう何年も学会には行ってない。
学会は研究者にとっては大事なイベントだ。研究成果を発表する場であるし、新しい知識を得る場でもある。新人の研究者にとってはデビューの場であるし、ボスのような立場の人は自分たちを誇示する場でもある。研究者の親睦の場でもあるし、観光するチャンスでもある。
でも、私は学会はそんなに好きではない。他人の発表は、たいてい難しくてわからない。すぐ飽きてしまう。腰が痛くなる。
それで、ついつい面白いことはないかと探してしまう。
むかし、ある小さな学会(研究会というべきか)で、ある講演が終わって質疑応答の時間になった。しかし、誰も質問しない。座長は困って、前列に座っていた、あるえらい先生に「XX先生、ご質問はありませんか」と問いかけた。その先生は居眠りをしていたらしい。指名されてびっくり。立ち上がって、なんと閉会の辞を述べだした。きっと前から閉会の辞を頼まれていたのだな。満場失笑。
ある学会では、外国の研究者が招待され講演した。その先生は講演の最初に、謝辞を述べた。「”アイサイ”に感謝します」
すごい愛妻家!奥さんの顔を見てみたい・・・実は、この研究会は製薬会社のエーザイがスポンサーだったのだ。エーザイは英語ではEISAIと表記している。それでアイサイと発音したのだ。
えっ、学会は厳粛な場だから、くだらない話はやめろって。まだまだあるんだけれど。