大学入試のシーズンである。今年はコロナのせいで、とても大変らしい。
大学入試といっても、私自身の受験は遠い遠いむかしのことで、いま思い出すのは教員をしていた頃のことである。
共通テストとか共通1次とかセンター試験とか、呼び名は時代によって変わってきたが、基本的には似たようなものであった。
そもそもは、個々の大学でつくる入試の問題があまりに難問・奇問になってきたというので、専門家が集まってよい問題を作り、全大学に供給しようという趣旨だと説明を受けた記憶がある。
そこで、私は個々の大学の入試はこれで楽になるなと思った。ところがそうはいかなかった。やっぱり、2次試験とかいって、個々の大学でも独自の入試をするようになった。
そして、なによりも、全国レベルで行う1次試験が、大学教員にとって、大変な負担になった。
ほとんどすべての教員は試験監督にかり出される。朝早くから夕方までかかる。試験の監督中はしゃべってはいけない。本を読んでもいけない。もちろん居眠りしてもいけない。じっと見はっているだけなのだ。
この試験にすごく神経を使うのは、全国規模で行うので、一つの大学でミスを起こると、影響は全国の大学に及ぶ。ニュース沙汰にもなる。だから、大学執行部のエライ人たちの神経はピリピリである。しもじもにもそれが伝わってくる。
ああ、いやな2日間だったなあ。
いま老人ホームに入居する身になり、ソファに寝そべってテレビのニュースを見ながら、思い出している。