先日の日曜日に、ひさしぶりに、息子夫婦が「ポムポム川の辺」に来てくれた。コロナ騒ぎのために、面会謝絶、つまりホームの中では会えない。仕方なく近所の喫茶店に行った。
大きくて立派な喫茶店である。こんな店に入るのは、何年ぶりだろう。きょろきょろしてしまった。
ウエイトレスのお姉さんが注文をききに来た。私はコーヒーが苦手なので、紅茶を頼んだ。そうすると、「どういう種類ですか」ときかれた。私はとまどった。紅茶の種類なんて知らない。私が困っていると「アールグレイでいいですか」と助け舟を出してくれた。私は「それをお願いします」と注文した。そのあと、ホットですか、アイスですか、ミルクですか、レモンですか、ストレートですかときかれた。
アールグレイのほかにどんな紅茶があるのか気になった。そこできいてみるとアールグレイしかないという。なあーんだ。
「ここはコーヒーの店で、紅茶を注文する人はあまりいないんだよ」と息子が喫茶店の味方をした。
日本の喫茶店も変わったなあと私は思った。むかしは紅茶は「紅茶」と注文すればそれで済んだ。つまり、1種類しかなかった。うん、ずいぶん昔の話だけれど。
アイスクリームだって、バニラとイチゴぐらいしかなかった。
何十年も前の話だが、アメリカに留学して、アイスクリームにたくさんの種類があるのに驚いた。アイスクリームを注文するとフレーバーは何かと必ず聞かれた。ある偉い先生はバニラを注文したが、発音が悪くて通じない。仕方なくストローベリーばかり食べていたそうだ。自慢じゃないけれど、私はバニラを注文することができた。
いまは、日本も、何事にも選択肢が多い時代になった。結構なことだが、ちょっと面倒くさい。