70歳を過ぎたころからだろうか、私は冷え性に悩まされだした。冬になると、足先が冷える。手で触ってみると、すごく冷たい。特に朝はつらい。夜眠れなくなることもある。
もちろん、いろいろ対策を試した。厚い靴下をはく。ショウガ湯を飲む。足湯につかる。薬を塗る。ビタミン剤を飲む。でも効かない。
針きゅうのお医者さんにかかったこともあった。かなり長く通ったけれど、ダメだった。
そこで、内科の先生で、冷え性が専門という女医さんに診てもらったら、いっぱいアドバイスをくれた。
寝るときには靴下をはいてはいけないとか、熱い湯と冷たい水に足先を交互につけてみろとか、である。さっそく試したが効かなかった。
そうしたら、何やら難しい名前の漢方薬を処方してくれた。
私は漢方薬が苦手だ。まずいし、量が多い。効き目があらわれるのに時間がかかるという。それでも辛抱して飲み続けたが一向に効かないのでやめてしまった。いまでも、戸棚の中に飲み残した漢方薬がたくさん眠っている。
それがである。この冬、「ポムポム川の辺」に入居してから、調子がいいのだ。足が冷たいのを忘れて生活をしている。
きっと、全館、24時間、暖房の効いた建物の中にいるせいだ。
なあーんだ。原因は、昔の私の家が寒かったということだったのだ。
でも、ホームの暖房は私にはちょっと贅沢すぎる気もする。なにしろ、私たちの世代は、ダンボウよりもシンボウの時代に生きて来たから。
それに、部屋が暖かいというのは幸せだが、やたらにのどが渇く。お茶ばかり飲んでいる。