京都には、大昔に修学旅行で行った。いろいろお寺などをまわった、いや連れまわされたが、どこへ行ったかは全然覚えていない。
 大人になってからも、京都には何度もいった。学会関連が多かった。その都度、名所へ行ったりしたけれど、どこへいったかほとんど覚えていない。
 覚えているのは、食べ物のことである。名物の豆腐料理を食べたが、あまり感心しなかった。精進料理も苦手だ。
 夏に、四条河原のお料理屋の川床で、ご馳走になったことがある。これは、とてもおいしかったし、風情があった。
 どこのお料理屋さんだか、おぼえていないのだけれど、サービスしてくれる女性が、あゆの塩焼きの骨を見事に取り除いてくれたのには、感心した。
 祇園には、もちろん足を踏み入れたことがない。ところが、東京で、祇園の舞妓さんと同席する機会があった。I先生という内科のお医者さんが、祇園のお茶屋さんに顔が利いて、特別に東京まで来てもらったのだ。I先生はすごいなあ。
 有名なお茶屋のおかみさんが、二人の舞妓さんと、一人の芸妓さんを連れてやってきた。
 舞妓さんは、すごく若い。10歳代の少女なのだとはじめて知った。芸妓になる前の、修行中の少女なのだそうだ。それが、きれいにお化粧をして、きれいな着物を着てあらわれた。
 舞妓さんから、名刺をもらった。小さな、可愛い名刺で、まんなかに名前だけが書いてあった。大事に持っていたが、老人ホームへ引っ越すときに、無くしてしまった。
 せっかくの機会なので、舞妓さんに質問した。「その格好で、新幹線にのってきたのですか?」
 答えはイエスだった。
 天の声「もう少し気の利いたことをきけないのか」

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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