テレビで、レンズの片方が丸、もう片方が四角の眼鏡をかけている人を見た。面白いことをしているなあと思った。その方は、アメリカ、イエール大学の准教授で、つまり学者だそうだ。最近、「高齢問題の解決には、高齢者は集団自決しかない」と言って、物議を醸していると聞いた。高齢者の一人として、私もひとこと言いたいが、それは置いておいて、今日は丸と四角の眼鏡の話をしたい。
一般に、学者は大衆とかけ離れた存在である。大衆には、学者の言うこと、やっていることは難しくてわからない。学者は、いわゆる「象牙の塔」のこもって、大衆のことを顧みない。だから、学者と大衆をつなぐ架け橋が必要である。
丸と四角の眼鏡の先生は、多分、この架け橋をつとめようと思っているのではないか。珍妙な格好をしていると、あの人は面白いと思って、発言にも注目してくれると思ったのだろう。
生命科学の分野でも、大昔にそのような先生がいた。緑色の派手なジャケットを着て、赤いスポーツカーに乗って、マスメディアにもしばしば登場した。その先生は「私は、サイエンスと大衆をつなぐ架け橋になるつもりだ」と言っていた。
架け橋、架橋・・・そうだ、コラーゲンの「架橋」は私の専門領域だ。でも、私は大衆と学問の架橋にはなれそうもないなあ。
天の声「もちろん、ダメだ」