ロシアという国は、なんとなく遠い国だ。昔は、アメリカと対立する超大国だった。今でいえば、中国にあたる。いや、もっとすごくて、アメリカはロシア(当時はソ連だった)のミサイル攻撃を恐れて、国中に核シェルターをつくっていた。
したがって、ロシアに行くことはなかなかできなかった。堀内先生は有名な化学者で、ロシアの大学から招待され、奥さんといっしょに出かけた。帰国して先生は、「ロシアではホリウチと呼んでくれない。オリンチスキーとよばれた。家内は、オリンチスカヤとよばれた」
この話は、堀内先生のご親戚が私と同じ研究室におられて、その人から聞いた。彼は人を担ぐのが好きなので、作り話かもしれない。しかし、ロシアでは、男性と女性で、名前の呼び方が違うことがあるらしい。
政治的には遠い国だったが、私たちはロシアの文化にいろいろ触れてきた。たとえば、ロシア民謡。先輩に好きな人がいて、いろいろ教えてくれた。
ロシア料理。神保町にバラライカというロシア料理店があって、店内で、音楽を生で演奏していた。今もあるかなあ。
ロシアの映画。戦後すぐに、「シベリア物語」という映画が日本で上映された。当時では、珍しいカラー作品である。昔はカラーとは言わず、総天然色映画といった。ストーリーは覚えていないけれど、とてもきれいだった。
アニメでは「せむしの仔馬」。これも、総天然色、とてもきれいで、ディズニーにはない味があった。
ああ、ロシアの話をしていると、ウオッカを飲みたくなった。
天の声「最後はそれか」