リオのカーニバルが、今年は新型コロナウイルス感染のため中止になったというニュースを見た。リオのカーニバルは、南米ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで、2月か3月に開かれる。世界の各地からたくさんの観光客が集まって、街中が大騒ぎになるという。
 私はもちろん、リオ・デ・ジャネイロに行ったことがないし、カーニバルを見たことない。でも、ショーとして見たことがある。
 大昔、私がまだ仙台の大学にいたころ、大阪のある会社の社長のYさんが研究室にやってきた。私が一般向け科学雑誌に書いたコラーゲンの記事を読んだのだという。Yさんの会社はコラーゲン関連のものを製造・販売していた。
 「コラーゲンを研究している人が大学にいることをはじめて知った」と、Yさんは言った。当時だって、コラーゲン研究者は何人もいたけれど、一般の人との接点はなかったのだ。
 それから、Yさんは私を大阪に招待してくれた。若くて貧乏だった私は、いろいろなことをはじめて体験させてもらった。たとえば、フグをはじめて食べた。キャビアもはじめて食べた。それから、クラブに連れて行ったもらい、ショーを見た。
 そのショーが、リオのカーニバルのショーだった。派手で露出度の高い衣装の踊り子さんたちがセクシーに踊った。踊り子さんの体型は、日本の女性と全然違う。
 私は目を丸くして見ていた。
 Yさんはもうだいぶ前に亡くなってしまった。私は年寄りになった。コラーゲンは誰でも知っている言葉になった。

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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