私たちが目を付けた老人ホームを「ポムポム武蔵野」と呼ぶことにする。はじめはポム荘と呼ぶことにしたのだが(アガサ クリスティの推理小説に出てきそう)、何だか雀荘みたいなので変えることにした。ポムはPeace Of Mindからきている。
ポムポム武蔵野は建設中で、もうすぐ完成する。そこで入居者に対する説明と相談の会がひらかれることになった。そして気に入れば入居の仮申し込みということになる。
ポムポム武蔵野は息子たちの家からは近いが、私の家からは遠い。電車でも車でも2時間かかる。外出が苦手の私は行くのを渋ったが、「本人が行かないとダメ」「人気があってすぐに埋まってしまうらしい」とせかされ、しぶしぶ出かけた。
老人ホームの部屋は基本的に狭い。こんなところにかみさんと二人で一日中いるのはたまらない。ワガママな私を知っている息子夫妻は、居室の他に書斎としてもう一部屋借りることを勧めた。
それはいいけれどお金がかかる!
でも一生に一度、最後の贅沢だ。あまり深く考えないで仮申し込みをしてしまった。かみさんは何にも言わなかった。
その時には年金や資産の額を書かされた。そして連帯保証人と身元引受人が必要であった。もちろん息子に頼んだ。もし子供がいなかったらどうすればいいのだろう。
仮申し込みをすると審査するという。何を審査するのだろう。年金の額?資産額?前科の有無?まさか。