あるラジオの番組で、ホトトギスの鳴き声を聞いたという投書が紹介された。福岡県の人からのものだ。
暇な私は、さっそくホトトギスのことを辞典で調べた。そうしたら、「厠半ばに」という面白い記事を見つけた。
明治40年6月に、当時の首相の西園寺公望から、夏目漱石に「御高説拝聴かたがた粗飯差し上げたく」、自邸に来てほしいという招待状が届いた。
漱石は「時鳥(ホトトギス)厠半ばに出かねたり」という一句を添えて、はがきで断ってしまった。トイレの途中なので、ホトトギスが鳴いても出られない、というのだそうだ。
首相の招待をトイレの途中だからと断るとは、さすが漱石。権力嫌い、反骨精神を示す挿話として伝えられているという。
私なら、ただ飯は断らない・・・なんていう人間には招待状は来ないな。