日曜日の朝に、歌手のイルカさんのラジオ番組がある。なつかしい歌が聴けるのだが、そこで「デザート世代」という言葉が、しばしば登場する。イルカさんの造語かな。還暦過ぎた人をいうらしい。つまり、老人のことだ。
老人をあらわす言葉は、いろいろある。高齢者、特に後期高齢者は、お役所の言葉だが、ちょっと露骨な表現で、好きになれない。シニア世代とか、シルバー世代とかいうと、今度は少し気障な感じがする。
デザート世代は、もっと気障かもしれないが、しゃれていて、面白い言葉だと思う。
デザートを辞書で引くと、西洋料理のフルコースで、最後に出てくる菓子や果物のこととある。フルコース料理なんてものは、めったに食べられない。夕食は、牛丼で済ませたとか、ラーメン一杯で終わりとかいう人は大勢いるが、そんな人にはデザートはない。
人生をフルコースの料理に例えれば、大学を出て、就職し、結婚し、子育て・・・この辺りがメインディッシュか。やがて定年になって、のんびりと年金生活。これがデザートである。でも、こんなフルコースの一生をもてる人は、とても順調な、ラッキーな人たちだ。
要するに、デザート世代とは、恵まれた生活を送っている老人たちのことだと思う。幸いにして、現在60過ぎの人たちには、デザートを楽しんでいる人が多い。
しかし、これからの世の中は、厳しくなる一方な気がする。いまの子供や若者たちは、将来の年金を、期待できないでいる。日本という国は、災害は多発するし、資源はない。政治家は自分勝手ばかり。世界での日本の地位は、どんどん低下している。
なんとか、子供たちが年をとった時に、デザートを楽しめるようになってほしい。このままでは心配である。
ところで、とっくにデザートを食べ終えてしまった、私のような90歳近い人間は、なんと呼べばいいのだろう。あとは、寝るだけ。水しか飲まない。水世代か。
天の声「いや『末期の水』世代だ」