昔の映画やテレビドラマを見ていると、登場人物の男性は、たいていタバコを吸っている。それも、たてつづけに吸っている。むかしは、あんなに吸っていたのだなあと感心してしまう。今ではとても考えられない。
格好いい二枚目もタバコを吸う。ギャングの親玉も下っ端も吸う。刑事コロンボも、安物だが、葉巻を離したことがない。タバコはドラマの重要な小道具だった。
電話も重要な小道具だが、むかしは黒いダイヤル式のものが多かった。ヒッチコックの映画で「ダイヤルMを廻せ」というのがあった。ダイアル式の電話を見たことのもない、今の若者にはピンとこない題名である。
その電話が、携帯電話に代わっていった。刑事コロンボのシリーズの終わりの方には、コロンボが携帯電話を使う。といっても、今のような小さいものではなくて、大きく、重そうな携帯電話である。ある地点で電波の届くかどうかどうかが、ドラマのポイントになった。
いまは、スマホである。みんなスマホを持ち、一日中、眺めて暮らしている。もちろん、私が見ているミステリードラマの登場人物も、スマホをもち、頻繁に連絡しあう。
ただし、老人は持っていない人もいる。私も持っていない。
数年前のことだが、むかしの大学の同級生3人で、集まることになった。池袋の東武東上線の改札口で会おうということであった。しかし、改札口はたくさんあり、複雑である。約束の場所がわからず、会うことができない。そしてだれもケイタイをもっていない。とうとう駅員さんに呼び出しのアナウンスしてもらった。恥ずかしかった。
今の風俗といえばマスクである。街をいきかう人はみんなマスクをしている。いろいろな色や形のマスクがある。あれは結構お洒落の対象になっているのかもしれない。
近い将来にはコロナ騒ぎも収まって、マスクをしなくてよくなるだろう。マスクなし時代の若者が、マスクの人だらけの風景の映像を見て、どう思うかな。興味がある。