いま、街を散歩していると、サルスベリの花が目につく。紅色の小さな花が、群がって咲いている。きれいだし、この季節は、高い木に咲く花が他にはないからかもしれない。しかも、サルスベリの花は、長い間咲いている。漢字で書くと、百日紅というぐらいだ。本当に100日間も咲いているかどうかは知らない。
 サルスベリは、中国南部が原産地で、江戸時代の初期に日本に伝えられたそうである。幹がすべすべしていて、木登りのうまいサルでも、滑ってしまうということから、この名前がついた。
 そこで、私はふと思った。英語で、サルスベリは、なんというのだろう?
 サルは、日本や中国などのアジア諸国には住んでいる。南アメリカやアフリカにもいる。しかし、ヨーロッパや北アメリカにはいない。それでは、サルのいない国の言葉である、英語でサルスベリはなんというのだろう。
 そこで、和英の辞書を引いてみた。crape myrtle と出ていた。はじめて見る言葉である。今度は、英和辞典で、crape をひくと、ちりめんとあった。また myrtle は、ギンバイカと書いてあった。ちりめんは、表面に特徴のある織物である。イギリスの人には、サルスベリの幹は、単にすべすべでなく、ちりめんのように、見えたらしい。ギンバイカは、ビーナスの神木と説明があった。これはどんなものかわからない。
 まあ、外国人の目にどう映るかは、どうでもいい。サルスベリは、おもむきのある木だ。日本人には人気がある。俳句の題材にもなる。
      武家屋敷めきて宿屋や百日紅          高浜虚子

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です