サメは凶暴な魚というイメージが強いが、サメの体内には、不思議な物質がいろいろ存在している。だから貴重な資源でもある。
有名なのは、サメの肝油だ。昔から民間薬として重宝されてきた。ヘミングウエイの小説「老人と海」の中ににも、漁師たちが、サメの肝油を万能薬として使う場面が出てきたと記憶している。
実際、肝油には抗酸化作用を持つスクワレンがたくさん含まれていて、今サプリメントとして人気がある。
サメは大変強い免疫機能を持っていて、怪我をしてもすぐ直るし、感染症やガンにかかることはほとんどないそうだ。サメの軟骨には、ガンを治す効果があることを、マウスの実験で確かめた報告もある。
サメの軟骨に含まれるコンドロイチン硫酸には、いろいろな効果があるとされている。サメのコラーゲンも、経口摂取すれば効果があると思うけれど、他の動物のコラーゲンと較べて違いがあるかどうかは知らない。
最近、アメリカのアーロン・ルボ―博士らは、サメから抽出したあるタンパク質が、新型コロナウイルスを無力化する効果があると発表した。VNARと名付けられたタンパク質は、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質に結合する。そうして、ウイルスの感染力を失わせる。
VNARは安く簡単につくることができ、ワクチンよりも刺激が弱いので、ワクチン接種ができない人にも適しているという。
期待しよう。