先日、漫画家のサトウサンペイさんが亡くなった。私は、サトウさんの漫画のファンだった。
 サトウサンペイさんは、サラリーマン漫画の草分けだといわれている。確かに、それまでの漫画は、家族漫画が多かった。たとえば、サザエさんに代表される長谷川町子さんの漫画は、大人も子供もいる家族の生活を書いたものだった。
 サトウサンペイさんの漫画は、男性のサラリーマンを中心に書かれている。ちょとエッチで、遊びが好きで、でも小心なサラーマンの姿が、うまく書かれている。
 サトウさんの代表作は、「フジ三太郎」である。これは朝日新聞に、26年以上も連載されたそうだ。私は、毎朝見ていた。
 老人ホームに引っ越すので、持ち物を整理しているときに、ノートブックに挟んであった、新聞の切り抜きを見つけた。それは、フジ三太郎の漫画の切り抜きであった。いつごろのものかわからないのだが、ずいぶん古いものだと思う。
 ヒトこま目は、ソファに奥さんが寝そべっている。三太郎が、「どきな、オレの場所だという」 すると、奥さんが「見てから言ったら・・・」と答えて、小さな紙片を差し出す。
 二コマ目はその紙片の説明。それは名刺で、「主婦 フジびわ子」と書いてある。
 三コマ目は、再び、ソファに寝そべったままの奥さん。「ウラも見てよ」とのたまう。
 四コマ目は、名刺の裏の説明。「家事集中センター所長、姑ニンタイ室長、無料家庭教師、万年安月給ガマン会 会長」と書いてある!
 これでは、三太郎は、なにも言い返せない。
 日本中の大抵のサラリーマン家庭は、こんなだった。奥さんは専業主婦で、たくさんいる家族たちの面倒を見ていた。まさに、孤軍奮闘。それで、愚痴や文句がいっぱいたまって、ご主人に、ぶちまけようとする。ご主人は、たまらないから、いつも逃げ腰。
 私のところも、そのようだったから、身につまされて、この漫画を切り抜いておいたのだと思う。
 今の、共働きのご夫婦には、わからないだろうなあ。  
 天の声「あんたには今の夫婦のことはわからない」

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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