サウナは人気があるようだが、私はあまり好きではない。熱くて、落ち着かない。
大昔、あるところでコラーゲンの講演をした。コラーゲンの線維は、およそ65℃で変性して、収縮してしまうという話をしたら、ある皮膚科のお医者さんが質問した。「それなら、サウナに入ったら、皮膚のコラーゲンは変性してしまうのか?」
私は答えた。「サウナの温度は、70から80℃になるけれど、皮膚の周りの温度は、それほど高くはならない。気体は、密度が小さいし、熱伝導度も低い。だから、皮膚の周りだけは、温度が下がって、皮膚の温度近くになる。もしも、密度が大きく、熱伝導度も高い、液体の水だったら、こうはならない。70-80℃のお風呂に入ったら、コラーゲンの変性どころか、死んでしまう。」
これで正しかったかなあ。
酵素風呂と称する風呂がある。おがくずを微生物によって発酵させて、その熱で体をあたためる。堆肥の中が熱くなるのと同じ現象である。たしかに、入るとすごく体が温まる。
昔、私はある酵素風呂の会社に、解説を頼まれた。私は、これは酵素風呂でなくて、発酵風呂と呼ぶのが正しいと答えた。微生物の持つ酵素は関与しているけれど、酵素を取り出し利用しているわけではない。まるのままの微生物を利用しているので、発酵だと説明した。
同じように酵素飲料というものもあるが、これも発酵飲料と呼ぶべきだといった。
いま、どういう呼び方をしているのか、私は知らない。
まあ、呼び方なんて、どうでもいいのかな。豆腐は腐っているわけではない。たぬきうどんは、別にたぬきの肉が入ってるわけではないし。
天の声「なげやりになってはいけない」