コラーゲンの入った化粧品がたくさんある。テレビなどであれほど宣伝しているのだから、よく売れているに違いない。
化粧品の配合成分として初めてコラーゲンが使われたのはドイツで、今から50年も前のことだそうだ。
コラーゲンは皮膚（真皮）の主成分であるが、年齢とともに量が減少したり、変質したりする。これがシワやタルミの原因のひとつと考えられていた。そこで、皮膚にコラーゲンを塗ってやれば、中にしみこんでいき、コラーゲンの補充ができる、つまり肌が若返ると考えたらしい。
しかし、コラーゲンのような巨大なタンパク質分子は、皮膚の表面にある角質層というバリヤーを通り抜けることができず、したがって真皮にまでたどりつくことはとてもできないことがわかった。
それでもコラーゲンが化粧品の配合成分として利用されるのは、保湿効果があること、皮膚となじみがよく、使用感がよいからと説明されていた。
ところが、近年になって、コラーゲン食品が注目され、その生理効果について研究が進んだ。その結果、コラーゲン分子の中には、生理活性も持つ部分が隠されていて、分子が断片化すると、それら活性部分（ペプチド）が現れれ生理作用を発揮するということがわかった。
当然、この結果は化粧品にも応用できる。つまり、大きなコラーゲン分子ではなくて、あらかじめ小さく断片化しておいてから皮膚に塗れば、角質層を通り抜けることができるだろう。そして皮膚の中まで到達して、コラーゲン合成促進などの効果が期待できるのではないか。
これはすばらしい。
しかも、切断のやり方を変えれば、保湿性、皮膚への浸透性、そして生理活性が異なるさまざまなコラーゲン断片をつくることができるだろう。
さて、現実に、どこまで研究が進んで、どのような効果を持つ、どのような製品が開発されているのかは、企業秘密でもあるし、私にはわかっていない。しかし今販売されている化粧品を見ると、「多種類のコラーゲンを配合」などと書いてあるものがある。これは断片化の方法を変えてできた多種類のコラーゲン断片が配合されているという意味だと思う。
私は、コラーゲンの化粧品素材としての今後の発展を、おおいに期待している。