1990年ごろから、サプリメントとしてのコラーゲンの人気が高くなり、ブームになった。コラーゲンが分解されて生ずるペプチドに、生理活性があることもわかってきた。
 当然、エラスチンではどうかと考えた。まず、エラスチンをタンパク質分解酵素(サーモライシンなど)で分解し、できてくるペプチドのアンジオテンシン変換酵素阻害活性を測定してみた。アンジオテンシンは血圧を上昇させる。アンジオテンシン変換酵素を阻害すると、アンジオテンシンが出来なくなるから、血圧が下がる。つまり、この酵素の阻害活性があることは、エラスチン・ペプチドが降圧剤として利用できる可能性がある。
 期待通り、エラスチン分解物には、この酵素の阻害活性があることがわかった。ある会合で、製薬会社の人にこの話をした。その方は興味を持って、利用を検討したいといった。私は、もしかしてお金が儲かるかもしれないと思った。
 しかし、しばらくしてから、開発をあきらめるといってきた。アンジオテンシン変換酵素阻害活性が、コラーゲン・ペプチドにもあることが報告されていたからだ。エラスチンよりもコラーゲンの方が大量に得やすい。それゆえ、わざわざエラスチンを使う必要がないとのこと。
 こうして、お金儲けの夢はまた潰えてしまった。そんなに簡単にお金儲けができるはずはないよね。
 天の声「あたりまえだ」
 

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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