先日、松山選手が、ゴルフのマスターズで優勝して、話題になった。その時、ラジオで聞いた話だが、松山さんは、食事に「しょう油」を欠かすことができず、アメリカにも持参していくとのことであった。
「同じだ」と私は思った。大昔、私がアメリカに留学した時、いちばん食べたくなったのは、しょう油の味の食べ物だった。
若くて独り者の私は、3食とも外食だった。貧乏な日本からアメリカに行ったので、アメリカのレストランやカフェテリアの食事は、肉も魚も卵もふんだんに使っていて、おいしく、ぜいたくに思えた。
しかし、しょう油の味と香りがする食べ物はどこにもない。アメリカの地方都市には、当時は日本料理店もないし、日本の食品を売る店もなかった。
しょう油は日本独特の食品だそうだ。大豆と小麦が原料で、発酵させて作る。酵母、麹菌、乳酸菌などがはたらき、しょう油独特の味と香りができてくる。しょう油の旨味は、原料に含まれているタンパク質が、発酵の過程で分解されて出来る、アミノ酸やペプチドによるらしい。
グルタミン酸に代表されるように、アミノ酸は味と関係がある。
ペプチドはアミノ酸が何個か連結したものだが、やはり味と関係があるようだ。旨味を示すペプチドがどんなものかは私は知らない。しかし、たとえばすごく甘い味のペプチドはある。アスパルテームとなずけられたペプチドは、アスパラギン酸とフェニルアラニンの結合したものだが、砂糖の約200倍も甘い。
苦い味のペプチドもあるらしい。というのは、コラーゲンを健康補助食品として使うとき、小さなペプチドの方が吸収がよいだろうというので、酵素でどんどん切ってみたそうだ。そうしたら苦みペプチドが生じてきて、苦くなってしまったという話を聞いたことがある。
いろいろな味のペプチドがあるが、塩味のものは見つかっていないという。これが見つかれば、食塩の代わりになる。つまり高血圧防止に役立つので、大儲けできるそうである。