お宝鑑定団というテレビの人気番組でも明らかだが、世の中には、なにかを蒐集する趣味の人が多い。もっともポピュラーなコレクションの趣味は、切手だろう。たいていの人は、子供のころに経験がある。しかし、本格的になると大変だ。切手の中には、ベラボーに高価なものがある。オードリー・ヘップバーンの映画「シャレード」にはそんな切手が出てきた。
 郵便局の前を通ったら、オリンピックの記念切手のポスターが貼ってあった。すごい数の記念切手がでるらしい。集める人は大変だ。
 貨幣・紙幣を集める人もいる。老人ホームへの引っ越しで、片づけをしていた時、「50銭紙幣」を1枚見つけた。これは珍品だ、高価なものではないかと期待して、インターネットで調べると、10円と出ていた。がっかり。
 昔、お茶漬け海苔に、東海道五十三次の浮世絵のカードがついていた。自由研究かなんかで、息子があれを、全部集めると言い出した。こりゃ、お茶漬けばかり食わされるなあと思ったが、かみさんが、カードだけ1セットを手に入れてきた。
 私はあまり集める趣味はない。まだ、舶来のウイスキーが高価だったころ、ウイスキーの瓶をあつめたことがある。要するに、飲んだ後のカラの瓶をとっておいたのだ。ある日、バカバカしくなって、全部捨てた。
 昔、研究上の必要から、コラーゲンの構成成分のヒドロキシプロリンというアミノ酸の測定法を練習した。そのため、標準物質として、純粋なものを持つ必要があった。そこで、再結晶を繰り返していたら、ある日、大きくてきれいなヒドロキシプロリンの結晶ができた。無色透明で、まるで、宝石のように輝いて見える。私は、感激して、小瓶に入れ大事に保管した。これが私のお宝だった。
 この結晶を宝石のようにつけた指輪をつくり、素敵な女性に出会ったら、プレゼントしようと空想した。でも、水に濡れたら溶けてしまうのが難点だなあ。
 このお宝の結晶も、引っ越しを繰り返すうちに、無くしてしまった。
 天の声「バカだな」

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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