「ブル・心を操る天才」はアメリカのテレビドラマで、実はまだ数編しか見ていない。とても面白いのだが、こわい。
ドクター・ブルと呼ばれる心理学者が主人公だ。
ブルさんは審理コンサルタントの会社を設立している。無実の罪を着せられた被告の依頼を受けて、活動する。そして報酬をもらう。主な仕事は、陪審員を操り、無罪へ誘導することである。
陪審員を選ぶときから仕事が始まる。アメリカではそういう制度らしいのだけれど、陪審員を選ぶとき、弁護士は関与することができる。ブルさんは仲間の弁護士に命じて、操りやすい人を選んでいく。そのためには、陪審員の候補者を徹底的に調べる。
そして陪審員がきまると、そのそっくりさんを用意する。そして模擬裁判を行う。どのようにすれば、この人たちの心を操れるかを研究し、実行する。
たとえば、検事に10時間も過酷な尋問をされて、嘘の自白をした被告を助けたい。被告はとても過酷な状態に置かれたために、パニックに陥り、嘘をついた。「人間は異常な事態では、嘘をつく」ことを理解できる人もいるが、出来ない人もいる。陪審員のなかにもいる。
「人間は異常事態においては、異常な行動をする」ことをその陪審員に認めさせたい。そのために、エレベーターを細工して、その陪審員を閉じ込めて、怖がらせる。彼はパニックになる。そして、今まで「異常事態における異常行動」を認めなかったのに、認めるようになる、といったあんばいである。
ブルさんは、陪審員をつねに「正義」の方向に誘導するといっている。お金には目もくれないといっている。権力者に忖度もしないそうだ。しかし、本当にいつもそうなのだろうか。彼のいう正義って何だろうか。
ブルさんは、自分は神だと思っている。ドラマだからいいけれど、本当にこれに近いことが行われているとしたらとても怖い。
ちなみに、ブルは奥さんと離婚している。奥さんの心は操れなかった。
天の声「あんたは、推理ドラマの見過ぎだ」