農芸化学者の遠藤章博士が亡くなられた。遠藤博士は、昔、私が東京農工大学に務めていた時の同僚だった。
遠藤博士は、農工大に来る前は製薬会社の三共に勤めていた。そして、そこでスタチンを発見した。
スタチンは血液中のコレステロール値を低下させる物質の総称である。遠藤博士はコメに生えるアオカビの培養液から、最初のスタチンであるコンパクチンを見つけた。高血圧症や心筋梗塞などに特効を持っていたので、「動脈硬化のペニシリン」と言われ、世界中で使用されることになった。
世界で最も売れた薬になったそうだ。
しかし、この発見の特許を巡って、遠藤博士と三共の間で、もめていたらしい。遠藤博士の教授昇進に時、三共の偉い人が、文句を言いに来たのを覚えている。なんだか、ドラマみたいだった。
これをネタに小説をかいてみようと思ったが、果たせていない。